「玄関アプローチは、スムーズに移動できるように作りたい。」と思う人は多いのではないでしょうか?スロープは車椅子や足腰が不自由になった時以外にも、ベビーカー・自転車など、生活を快適にサポートする役割があります。
バリアフリーの一つとして、スロープを知っている人も多いかと思いますが、スロープは生活を便利にするため、自宅玄関に設置する人もたくさんいます。もちろん、老後の生活を考えて事前にスロープを設置する人もいるでしょう。
スロープは生活を便利にしますが、一方でスロープを設置するにはどんなことに気をつければいいの?と思う方もいるかもしれません。リフォーム時にスロープを新しく設置することも可能ですが、スロープにはある程度の設置スペースが必要です。
数年後、設置スペースがなくスロープをつけられない。とならないためにも、事前にスロープについて情報収集をしておくことは大切でしょう。本記事では、スロープの設置ポイントや注意点を紹介しています。
ぜひ快適なおうち作りの参考にご覧ください。
玄関スロープが必要な理由
玄関スロープが必要な理由をチェックしてみましょう。一般的には、車椅子や足が不自由になった際に便利なバリアフリーとしての役割があるスロープをイメージするのではないでしょうか?
スロープの大きな役割は、高齢者や障害のある方の移動がスムーズにできるようにサポートすることでしょう。しかし、自宅前の玄関アプローチは、数十年以上前に作られ、歳をとった自分の足腰の状態を想定していなかったというケースもあります。
このように、将来的に自身が歳をとった際も移動がスムーズになるように、事前にスロープを設置する人も増えてきています。高齢化社会となっている日本では、老後の生活や親の介護などのことを考え、スロープを設置するケースもあります。
前述したように、スロープには高齢者や障害のある方のためのバリアフリーではなく、たくさんの人の移動をスムーズにできる役割があります。子育て世代では、ベビーカーや自転車などの移動も楽にするでしょう。
スロープは、たくさんの人にとって、現状の生活から老後の生活までをサポートするものとして、必要性が高まっています。
玄関スロープのメリット
スロープは、スムーズで快適な移動のために必要だと紹介しました。ここでは、具体的なメリットを紹介します。
移動が簡単になる
足腰に不自由がなく、段差や階段も自力で乗り越えられる人は、スロープの必要性を感じないかもしれません。しかし、少しの段差も車椅子では自力で乗り越えるには困難だと感じると言います。2㎝の段差でも転倒の危険を感じることがあるようです。
車椅子の人はもちろん、足腰に不自由がある人も、スロープによって段差が軽減されれば移動が簡単になります。移動が簡単になれば、外出する機会が増えることにもつながるでしょう。
同じようにベビーカーで移動中も、段差によってガタガタと揺れる場合、乗っている赤ちゃんが心配になることがあります。また、赤ちゃんが乗っている状態でベビーカーを持ち上げ段差を昇り降りすることは危険です。たくさん荷物がある場合も、ベビーカーと赤ちゃん、さらに荷物を持って段差を移動しなければならず、転倒のリスクも高まります。
しかしスロープがあれば、スムーズな移動で赤ちゃんへの振動の心配も軽減されるでしょう。スロープによって移動が簡単になることで、スロープを使うたくさんの人にとってメリットがあります。
足腰の負担が少なくなる
バリアフリーとしてスロープは車椅子移動だけでなく、足腰の負担を軽減し転倒を防ぐ役割があります。自力で歩行できる場合も高齢者や小さなお子さんは、少々の段差でもつまずいてしまい転倒するリスクがあります。
スロープによって、段差を少なくすることで、転倒のリスクを回避し足腰への負担を軽減できるメリットがあるでしょう。
デザイン性が高まる
スロープは、玄関アプローチのデザイン性が高めることも期待できます。レンガやタイルを組み合わせたり手すりのデザインにこだわることで、スロープのデザイン性も楽しめます。
また、緩やかなスロープを設置するためにはスペースが必要です。玄関まわりの空間にゆとりが生まれ開放感のあるデザインになるでしょう。
玄関スロープ設置の注意点
次に、玄関にスロープを設置する際の注意点を紹介します。すでに紹介しているように、スロープの設置には、スペースが必要です。また、コストがかかる点もデメリットとして考えられます。
設置スペースが必要
スロープでの移動をスムーズかつ安全にするためには、ゆるやかな傾斜のスロープが必要です。ゆるやかな傾斜をつけるためには、長いスロープであることが条件です。スペースが不十分のため、短いスロープを作ってしまうと急勾配なスロープが出来上がり危険になってしまいます。
以下の記事では、スロープの傾斜角度とスロープの長さを紹介しています。
電動車いすの自走はもちろん、介助の方がより楽に車いすを押すことができる
段差30cmに傾斜角度10度でスロープを設置したいとき
段差30㎝の約6倍、1.8mのスロープ
車いすでほぼ自走できるゆるやかな傾斜
段差30cmに傾斜角度5度でスロープを設置したいとき
段差30㎝の約12倍、3.6mのスロープ
参考サイト:スロープ傾斜角度の目安
よりゆるやかな角度でスロープを設置するためには、スロープの長さが必要です。そのために、十分な設置スペースがあるかどうか確認することが重要でしょう。
費用がかかる
シンプルで手すりのないスロープの場合、約20万円〜設置できるケースもあります。しかし、安全性やデザイン性を求める場合は約50万円〜以上費用がかかることもあるでしょう。
リフォームの場合は、すでに設置してある階段やアプローチなどを撤去してからスロープを設置します。そのため、撤去費用などがプラスされます。もし、ご家族の中に介護が必要な人がいる際は、自治体の補助制度を活用して設置費用をおさえられるケースもあります。
介護のためにスロープを設置する際は、自治体やケアマネージャーに相談してみることがおすすめです。
玄関スロープ設置のポイント
ここでは、玄関スロープの設置ポイントについて3つ紹介します。スロープを快適に利用するためには、勾配・幅・素材がポイントです。
勾配
スロープを設置するためにはスペースが必要です。先ほど、傾斜角度の目安を紹介しました。角度が急な場合、転倒リスクや自力では登れないことが想定されます。また、車椅子を使った場合、介助者がサポートしてスロープを登ることもありますが、老老介護と呼ばれる現代では、介助者のサポート負担を軽減することも大切です。
そのため、介助者のサポートを含めた傾斜ではなく、可能な限りゆるやかな傾斜を作ることが大切でしょう。
バリアフリー法では、屋外は1/15以下の勾配となっています。これは、高さ10㎝に対して150㎝のスロープの長さが必要となります。角度は約3.8°です。介助者も車椅子の方も楽に移動できる勾配として設定されています。
幅
スムーズな移動には十分な幅が必要です。車椅子では十分な幅がなければ脱輪することもあるでしょう。また、歩いて移動する場合も人とすれ違える余裕があると、利便性も高まります。
自宅のスロープの幅は、100㎝〜120㎝以上あるとゆとりを感じられるでしょう。
素材
スロープの素材選びも大切です。なぜなら滑りやすい素材を選んでしまうと転倒するリスクが高まってしまうからです。タイルは滑りやすい素材ですが、スロープタイルと呼ばれる滑りにくい素材を使うことで、安心して利用できます。
またコンクリートやレンガ、石などを組み合わせてデザインを楽しむこともできるでしょう。家の外観やエクステリアの雰囲気に合わせて、安全性に配慮しながら素材を選ぶことがポイントです。
玄関スロープをより快適に使用するには?
さらに、玄関スロープを快適に利用するためのポイントを4つ紹介します。
手すりをつける
手すりをつけることで、より転倒のリスクを防ぎます。手すりには、機能性や強度を重視したもの、ブラックアイアンなどおしゃれなデザインを楽しめるものとさまざまです。
家族のライフスタイルや自宅のデザインに合わせて、手すりをつけることで、機能性とデザイン性を楽しめます。
屋根をつける
スロープの上に屋根をつければ、雨の日でも濡れる心配が少なくなります。例えば、車椅子で出かける際、デイサービスを利用するとお迎えの車が来ることがあります。
雨の日の場合は、濡れないように外で待つことになりますが、雨の日の移動も考えて導線に屋根を設置すれば、待つ間も濡れにくくなるかもしれません。自転車を置いている場合は、屋根の下に置き場所があれば、雨の日でも濡れない環境が作れます。
ライトをつける
夜間の移動を考えライトをつけることもおすすめです。夜の帰宅時は、足元が見えずに転倒する危険が増えます。ライトをつけることで、安全性も高まるでしょう。
スポットライトやダウンライトなど、ライトの選び方や使い方を工夫することで、照明によるおしゃれさも期待できます。
ポストの位置に気を配る
スロープを設置した際は、ポストの位置にも気をつけることがおすすめです。スロープを設置することばかりに気を取られてしまうとポストの位置が不便になり、毎日の新聞を取りにく・帰宅時に郵便物を確認する作業が大変と感じることになってしまいます。
ポストの位置は、ライフスタイルや玄関からの導線などの考え、利便性の高い場所を探すことがおすすめです。
まとめ
玄関に設置したスロープは、車椅子や足腰の不自由な人の移動をスムーズにさせるだけでなく、あらゆる世代の移動を簡単にできるでしょう。
さらに、高齢化が進んでいる現代では、前もってスロープを設置する人も増えています。快適なスロープには、十分なスペースが必要です。そのため、リフォーム時にはスペースが足りずに設置できないことや大規模な工事が必要なことが考えられます。将来的にスロープの設置を検討している方は、外構業者に相談してみるといいでしょう。
スロープは機能性だけでなく、素材や手すりのデザインにこだわることで、デザイン性も楽しめます。ぜひ、家族の将来を考えた家づくりにスロープを検討してみてはいかがでしょうか?
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